
・・・どうも、バーチャルブロガーの燕谷古雅(つばめや こが)だ。
「運の悪い奴が死ぬんだ」。
これは麻雀漫画『哲也 - 雀聖と呼ばれた男 -』に出てくる印象的な言葉だ。今の時代で言うところの、いわば「人生はガチャ」って感覚に近いかもしれない。
『哲也〜』は、勝負師(ギャンブラー)の生き様を描いた作品で、もともとは哲也のモデルである作家・阿佐田哲也氏の小説をもとにした漫画なんだ。
阿佐田氏は、「幸運が続きすぎるとむしろ危ない」という考え方を持っていて、ギャンブルで大負けしたときには「不運で消化できたから安心だ」と語っていたそうだ。
また、かつて著名な作家・向田邦子氏が飛行機事故で亡くなった時にも、「あの人は幸運が続きすぎたせいだ」と語ったというエピソードも残っている。
・・・正直、こじつけに聞こえるかもしれない。でも、こういう話を聞くと、やっぱり「人生と運」ってなんだろうなって考えさせられるんだよ。
今回は「人生と運」をテーマに、そしてそれを「コライダー」に例えて描いた物語、「万物のファンタズム」シリーズの新作を紹介しようと思う。
「いつまでもあるなと思うな親とコライダー」。
その言葉の重みを、今一度、心に刻め。
ファンタズムの狂気を、存分に味わえ。
「万物のファンタズム 人生ノーコライダー」とは

二つのダイスと穴、謎の階段。
この階段は天国へと続くものか?
それとも・・・
リーチャ隊長と蕎麦屋タナベが企画・制作した、VRChat屈指の奇祭「ファンタズム」シリーズの最新作が、2025年4月22日に公開された。今作のテーマは「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」という警句である「メメント・モリ」にかけた「メメント盛り」。理不尽で残酷な世界の中、自分はどう生きるべきかを問う、深く重い意味を込めた作品である。
「いつまでもあるなと思うな親とコライダー」。
この言葉には、「今日幸せでも、次の日には不幸になる可能性が誰にでもある」という、誰にでも起こりうる現実が込められている。作家・阿佐田哲也氏の「幸運が続きすぎるとむしろ危ない」といった格言にも通じるものがあるだろう。
単なるカオスではなく、ファンタズムシリーズの中でも極めて珍しい、メッセージ性を強く感じさせる作品になっている・・・かもしれない。
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コンセプトは「ホテル」

今作のコンセプトは「ホテル」。これは、2月に行われた説明会で言及されている。VRChatにおける「ホテル」と聞くと、VR映像界で知られる「ホテル・カデシュ」を連想するかもしれないが、今回はそれと被らないイメージを目指しているという。リーチャ隊長が描いたコンセプトアートをもとに、ワールドのベースが制作された。実際にワールドを訪れると、コンセプトアート通りとはいかなかったものの、高級感あふれるホテルのエントランスの風景が広がっている。
↓イメージはこんな感じにしたかったという。
ファンタズムのコンセプトアート
— VR蕎麦屋タナベ嫁が1番VR2番 (@sobatang1) 2025年2月10日
リーチャ隊長に描いてもらったんだけどさぁ...
ほんとにこのまんま作ってやろうかな😂#ファンタズム2025 #VRChat pic.twitter.com/jr34KUng62
実際に行ってみた
実際に「万物のファンタズム 人生ノーコライダー」を行ってみた。予想と期待を裏切るような展開が起こりそうで、起こりそうでもない。そんな奇想天外なカオス満ちたワールドである。その独特な世界観を紹介していこう。
行き先は地獄、進むのはただの修羅
スタート地点にある天国への階段の近くで、いきなりコライダー。そして、そのまま落下。落ちた先でオープニングが流れる。
上空からゆっくりと降りていくと、そこに広がっていたのはーー

なんじゃこりゃ!
ここからは地獄。これは「幸せでも必ず不幸が訪れる」というテーマを合わせた演出なのだろうか?どう見ても「ファンタズムBONUS」とパリピ砲のようなレーザーのせいで、パチスロみたいな世界に迷い込んだかのような光景だ。
「うるせー」「知らねー」といった文字が浮かび上がり、「見るメダパニ(※ドラクエの魔法)」と「①②③④⑤⑥⑦②」の訳のわからぬ暗号が書かれた立札、そして奇天烈なオブジェクトの数々ーー。初手から何か何だかわからない怒涛のカオスが押し寄せてくる。
行き先は地獄。どこへ向かっても修羅ばかり。ユーザビビディー(ユーザビリティーか?)は最悪で、混沌とした地獄に抜け出す方法すら見当たらない。まるで芥川龍之介の「羅生門」のごとく、地獄から脱出するのは至難の業である。
ワクワクドキドキ!15つのエリア


「万物のファンタズム 人生ノーコライダー」では、全15のエリアが用意されており、非常にボリューム感のある内容となっている。対戦型のゲーム、どこかで見たことがある企業をモチーフにしたマップで敵を避けながらアイテムを探すゲーム、シューティングゲームなど、多彩なゲーム体験が楽しめる。
また、船を操縦したり、椅子に座ったまま移動したりするライド系の要素や、人気ゲームのパロディ、さらには何が何だかわからないカオスな仕掛けまで、盛りだくさんだ。
訪れる者を戸惑わせ、翻弄するほどの混沌が容赦なく襲いかかるーーそれこそが「ファンタズム」シリーズの醍醐味である。
エリア一覧
・ホテル
・未来都市
・237
・温泉
・闘技場
・宇宙
・博物館
・猫
・やぶこマイナスワン
・顔
・HIK ROOM
・プラベ
・ファち番出口
・地獄
・???
ワールド各所にあるクイズ

ワールド各地には「FantazumuQUIZ」が配置されている。出題内容はVRに関する雑学であり、クイズを解くと、「へぇー」と頷きたくなるようなVRに関するトリビアが解説される仕組みだ。
なお、クイズに正解しても特典は特に用意されていない。中には、でたらめな問題が混ざっている場合もあるため、油断は禁物である。
自分の投稿作品発見!

ファンタズムシリーズの楽しみといえば、「自分が投稿した作品がどこに配置されているか」を探すこと。目立つ場所に置かれていることもあれば、逆に気づきにくい場所にひっそりと配置されている場合もある。宝探しのような感覚でワクワクし、見つけたときには思わず嬉しくなるだろう。
また、推しの人やフレンドの作品を見つけたときには、その発想力や着眼点に良い刺激を受けることができるだろう。
エンディングがある?

「万物のファンタズム 人生ノーコライダー」では、2つのエンディングが用意されている。トゥルーエンディングを見るためには、ワールド内に「イースターエッグ」が隠されており、虫眼鏡で使って探し出す必要がある。最後に「イースターエッグ」に記されたキーワードに正しく答えると、特別な展開が待っている。
ネタバレを避けるため攻略方法は明かせないが、ぜひ自分の目で確かめてほしい。
この作品で感じ取られた本当の意味

今回のファンタズムがメッセージ性の強い作品となった背景には、蕎麦屋タナベさんの妻・SJさんとの出来事が関係している。
SJさんは2024年10月ごろ、脳出血により倒れ、現在もリハビリを続けながら生活を送っているという。そんな中、タナベさんは大きな苦労を抱えながらも、作品制作に取り組んできた。
「万物のファンタズム 人生ノーコライダー」には、タナベさんが考える「人生と運」、そして「妻への愛情」が込められている。
最後に
今回は「万物のファンタズム 人生ノーコライダー」について紹介した。「人生と運」を「コライダー」に例えた地獄の物語だけでなく、タナベさんの妻への想いが込められた、メッセージ性の強い作品となっている。
運が悪ければ、意地で乗り越えるしかないーーその思いを噛み締めながら、ファンタズムを通じて「人生と運」に向き合うことになるだろう。
fantazumu2025
ワールド製作者
tanabe
対応プラットフォーム
VRChat・PCのみ
ワールドURL
https://vrchat.com/home/world/wrld_68ab0745-44cb-48d0-a3c8-89e4fcff44bb/info
備考
光の点滅、VR酔い、カオスにご注意。
解説
ファンタズムシリーズの最新作。行けば地獄、向かうのは修羅。そんなイメージを描いたワールドが特徴。15つのエリアがあり、ボリュームあふれる内容となっている。