どうも、バーチャルブロガーの燕谷古雅(つばめや こが)だ!
どこのスーパーに行ってもお米が目に見えて減っていて、値段がいつもより高いんだ。2024年は、記録的猛暑や需要の増加で深刻な米不足と価格高騰に悩んでいて、ニュースでもよく話題になったんだ。そもそもお米作りは種まきから出荷まで半年以上かかるんだよ。VRChatではどれだけお米作りが大変なのかを勉強するためのワールドがあるんだ。
今回は、米づくりの工程を学ぶ「お米がオギャるまで。」というワールドを紹介するぞ。現役農家と一緒に学びながら、その大変さを体験してみよう。
「お米がオギャるまで。」とは
ゆったんさん(@YuttanVRc)が制作した、お米作りを学ぶための教養的なワールド。このワールドは「育苗」と「田準備」、「乾燥」の3つのエリアに分かれ、立て札にはお米の工程について詳しく説明されており、バーチャル空間を通じて社会科見学気分を楽しむことができる。名前の由来は「お米が産まれる(=赤ちゃんが「オギャー」と言うことから「オギャる」)」ことから。
このワールドは「仮想世界から現実世界の食育を」をテーマに作られた。2024年5月に日本語話者向け集会場FUJIYAMAの年中行事「御田植(おたうえ)祭り」に登壇した時に、ユーザーからの要望でゆったんさんが独学でワールドを製作した。
元蕎麦屋タナベさんの動画で紹介されました。
現役農家・ゆったんさん
このワールドを制作したゆったんさんは、リアルでは現役農家である。お米作りや農業に詳しいため、フジヤマのイベントで登壇し、農業について語った経歴がある。
今回、お米作りの工程を詳しく説明しながら、このワールドについて案内する。
現役農家と一緒にお米作りを学ぼう!
まず初めに「育苗(いくびょう)」の工程から説明が始まる。お米の種である「種籾(たねもみ)」を1反(田んぼ1枚)で8キロ分使用するという。ゆったんさんは説明のためにペンを使い、より詳しく解説している。
ワールドの3Dモデルは簡素に作られているが、少しでもわかりやすくするために写真をテクスチャに貼り付けており、お米作りの工程が理解できるように工夫されている。
種籾は非常にデリケートであり、病原菌がつかないようにお湯や農薬で消毒したり、徹底した温度調整を行ったりする。そのため、普段口にしている美味しいごはんがこんなに大変な工程を経ているのかと、少し聞いただけで理解した気分になる。
種籾から苗ができるまでには多くの工程があり、単に種を植えるだけでは苗はできない。種籾も苗も非常にデリケートであり、徹底した管理も必要である。育苗は1ヶ月ほどかかるという。
ゆったんさんは育苗の説明が終えた後、次に「田準備」の工程について説明するため、田んぼの方へ向かった。
「田準備」の工程について。田んぼにするには、まず資材を散布し、モグラやネズミに穴を開けられないように畦畔(けいはん)という田んぼの壁を作る。その後、土を掘り起こし、水田に水を入れて土を細かくする。この工程を経て、田植えへと進む。このワールドにはこだわりがあり、田んぼに植えた苗の距離や、人目につかない場所にある有毒な卵(どきついピンク色の物体)に関する注意書きなど、説明が詳しく盛り込まれている。
田んぼに苗を植えるだけではガスが溜まってしまうため、水田から水を抜いて土の状態を管理する必要がある。時には雑草が生えることがあり、その際には雑草だけを枯らす特殊な除草剤を使用するが、法律によって使用量が制限されている。農薬が残ると商品として販売できないため、農薬の取り扱いには非常に注意が必要である。
稲の穂がちょうど良い黄金色に変わると刈り時であり、完全な成熟状態ではなく、約8割の成熟度で刈り取る。刈り取った後は、稲に水分が残っているため、「乾燥」の工程に移る。
お米の仕上げに入る「乾燥」の工程について。このワールドでは、農家によって大規模な乾燥するための装置やお米を分別するための装置が用意されている。
乾燥の工程では、まず乾燥機に入れて水分を適切な量まで乾燥させ、その後、空気でじっくりと冷やしてお米に傷をつけないようにする。次に、藁や石などを機械で分別し、籾から玄米を取り出す。さらに、米のサイズや色彩で機械によって分別し、「上米(じょうまい)」と「中米(ちゅうまい)」、「クズ米」に分ける。この選別を繰り返すことで、上質なお米が出来上がるのである。
最後はお米の保存と精米について。お米は専用の冷蔵庫で保管し、冷蔵保管することで食味をほぼ維持することが出来る。精米では、玄米から糠(ぬか)と胚芽(はいが)を取り除く。この精米の過程、消化を良くし、味を向上させるために行われる。普段私たちが口にするお米は、精米後のものである。
お米の品種名には決まりがあり、カタカナは国が開発したもので、ひらがなが都道府県で開発されたものであるという。このようにゆったんさんのお米に関する雑学話も面白く、ためになるものであった。
普通の食卓で口にしているお米の工程について、一通りの説明が終わった。数多くの工程を経て食卓にたどり着くまでの大変さがよく理解できたと痛感する。VRを通じて学ぶことができるワールドにしては、新鮮な体験であった。
他にもお楽しみがいっぱい
「お米がオギャるまで。」では、炊飯ジャーの中にイカが入っていたり、レトロなトラックの中に米袋があったりと、思わずクスリと笑えるような隠し要素が多数存在する。
このワールドで使われたアセットの一部では、元蕎麦屋タナベさんから頂いたものがある。
農業を学ぶワールドに神社がある理由について疑問に思うかもしれないが、実はちゃんとした理由がある。ゆったんさんはリアルでご利益を得るために神社にお参りに行っていた。そのため、バーチャルでも五穀豊穣のご利益を願い、神社が建てられたのである。
米屋さんの中には、米袋にイベントや団体などのポスターの画像が貼られている。これらのポスターは、ゆったんさんが活動しているものや推しているもの、応援したい個人・団体の数々。中には、配信で協力していただいた方々のポスターも含まれている。
壁に飾られているものはこれまでの配信のサムネイルや、著名なストリーマー・やみえんさんの写真。
やみえんがこのワールドを紹介しました。
最後に
9月から10月はお米の収穫の時期、お米作りの工程がよく分かるこのワールドを、社会科見学気分で回ってみてはいかがだろうか。農業に興味のある方や農家の方も、このワールドに触れてみることで参考になるかもしれない。
ゆったんさん、取材のご協力ありがとうございました!
このワールドで配信などの取材や、案内を受けてみたい方はゆったんさん(@YuttanVRc)にX(Twitter)のDMで連絡・相談してみてはいかが?
参考資料。こちらも合わせて読んでほしい。
お米ができるまで | クボタのたんぼ [学んで楽しい!たんぼの総合情報サイト]
お米がオギャるまで。
ワールド製作者
ゆったん
対応プラットフォーム
VRChat・PCのみ
ワールドURL
https://vrchat.com/home/world/wrld_834d75a7-f7e2-44a7-8014-a10336112115
解説
種から食卓まで、お米作りの工程を学ぶワールド。VRを通して、お米作りの大変さが丸ごと分かる。社会科見学気分で楽しめる。現役農家による解説が盛り込まれているのが特徴。