ツバメヤロク - VRレビューブログ

VRSNS・ソーシャルVR(VRChat、Cluster)のワールド・イベント等のレビュー・紹介など様々なスタイルで発信するブログ。

【VRChatイベント】現役美術品バイヤーによる本格派現代アート展!VR展示イベント「GALLERY HAMAKI」レポート

 

どうも、バーチャルブロガーの燕谷古雅(つばめや こが)だ。

芸術は爆発だ!」・・・なんて有名な言葉があるが、最近はVRChatではその言葉の通り、芸術を題材としたワールドやイベントが熱を帯びてきているんだ。

そんな芸術の波の中でも、まさに"爆発"と呼べる勢いで開催されたイベントがある。それがーー「GALLERY HAMAKI(ギャラリーハマキ)」だ。

このイベント、ただの展示じゃない。本格的な"現実に存在する"現代アートを、VR空間で展示しているんだ。驚いだのは、主催者が実際に美術品のバイヤーとして活動していて、自ら資金を調達し、美術品を集め、バーチャル空間で実現させたということ。まさに、主催者が本気で作ったギャラリーってやつだな。

今回は、展示イベント「GALLERY HAMAKI」に足を運んで、どんな作品が展示されていたのか、じっくりと見てきたぞ。現実に存在する現代アートVRが交差する世界、その一端をレポートとしてお届けしよう。これは見逃せない内容だぞ!

 

リアルで美術品のバイヤーとして活動している葉巻の彼(@Hamakisince1994)さんが手がける、現代アートをテーマにした展示イベント。VRChat上に、実際に存在する現代アートを展示し、バーチャル空間で鑑賞できるのが特徴だ。

これまで葉巻の彼自身が、数々の個展や展示会など足を運び、さまざまなアーティストから許可を得てきた。その積み重ねが、VR空間で現代アートを楽しめるというユニークな取り組みを実現させたのである。

 

イベント開催までの経緯

2025年1月6日、葉巻の彼さんがX(旧Twitter)に投稿したポストから、すべてが始まった。

それは、渋沢栄一の1万円札の束を持った報告画像である。VRChat内でイベントを開催するため、フレンドたちの協力で120万円、自身が用意したものを含めて総額360万円ほど集めた。

 

 

当初、このイベントの詳細は明かされておらず、葉巻の彼さんのプロフィールには美術品を取り扱うバイヤーと記載されていたことから、アートと関係があると推測。

そして1月20日、「GALLERY HAMAKI」のロゴデザインが投稿され、ついに展示イベントであることが判明した。

 

 

2月1日、テストイベント「MATEREAL」を開催され、来場者から好評を博したことで、本格的な「GALLERY HAMAKI」開催への道が開かれた。

 

 

葉巻の彼さんは、当初「出来るわけがない!」と不安を抱きながらも、実際に挑戦してみた結果、「出来たァ!」と声を上げるほどの手応えを感じ、試行錯誤を繰り返しながら準備を進めていたという。

この「出来るわけがない!」という言葉の真意について、本人に話を聞いたところ、イベントを成功する事は見えていたものの、本当に展示したい作品を入手する難易度が高く、その点に悩んでいたそうだ

さらに、本人に聞いた話によれば、アーティストも人であるため、常に安定したクオリティの作品を制作できるわけではなく、「良作」と呼べる作品もあれば、「何とも評価が難しい作品」もあるという。そのため、納得できる作品に出会えるかどうかも重要な要素だったようだ。

しかも、展示されている作品の多くは、原画ーーつまりアナログで手描きされた一点モノである。人気のアーティストの場合、個展を開催すればすぐに成約済みになることも多く、抽選形式でしか購入できないケースもあるという。

お金をかけたVRイベントを個人で実現するのは、確かにハードルが高い。だが、葉巻の彼さんはバイヤーとしての経験と人脈を活かし、自らアーティストの元へ足を運び、交渉を重ね、現実の美術品をバーチャル空間で忠実に再現するという、前代未聞の展示イベントを見事にやり遂げたのである。

その執念と行動力には、思わず「これはスゴい」と唸らざるを得ない。

 

最も難しかった話

このイベントにかかった費用は総額360万円。その中でも、最も費用がかさんだのが「作品の購入費」で、同時に「作品を集めること」と「展示の交渉」が最も難しかったと、葉巻の彼さんは語っている。

というのも、展示対象が現代アートである以上、肖像権や著作権などの各種権利が発生しているため、ネット上に掲載されている画像をそのまま使用して展示することはできない

つまり、仮にネットで見かけた有名作品があったとしても、「ちょっと拝借」というわけにはいかないのだ。

そのため葉巻の彼さんは、展示するものすべてが実際にある作品を自ら購入し、さらにVRChat上で展示するための許可もアーティストから正式に得ている。撮影についても、職場のスタジオで一作品ずつ丁寧に撮影し、展示用のデータを準備したとのこと。

VRだからこそ、リアルに敬意を払いたい」とでも言うような、徹底した姿勢が垣間見える。

 

これまでの展示系ワールドの問題点、このイベントの狙い

VRChatには、美術館のような展示ワールドが数多く存在する。絵画や写真、VRアートまで、ジャンルは実に多彩だ。中には有名な絵画を忠実に再現したワールドや、作品のイメージに合わせてパーティクル演出を加えたワールドまであり、まさにVRならではの"美術館の多様化"が進んでいる

しかしその一方で、「有名な絵画を見ただけで満足してしまう」、「解釈が人によってズレる」といった問題も存在する。現実世界の美術館以上に、VRで美術品を扱う展示ワールドを作るのは意外とハードルが高い

そこで、現役の美術品バイヤーである葉巻の彼さんによるイベントワールドである。彼の経験をフル活用して生まれたのが、いわば"リアル美術品バイヤーがつくった本気の現代アート展"だ。ただ展示するだけでなく、飽きさせない工夫を凝らし、現代アートの奥深い面白さをVRの世界から発信しているのである。

 

実際に行ってみた!

8月3日、展示イベント「GALLERY HAMAKI」の3日目。

今回は、実際にどんな作品が展示されているのか、その見どころを具体的に紹介していこう。

 

見る者を圧倒させるオブジェ

 

美術館のエントランスに足を踏み入れると、目の前に現れるのは白とオレンジの独特な模様をした、巨大な四角いオブジェだ。これは杢目金(もくめがね)という彫金技法を使用したアーティスト・MADARA MANJ(まだら まんじ)氏の作品である。

実物は10cmの立方体とこれほどの大きさではなかったが、MADARA MANJ氏が「本当はもっと大きな作品を作りたい、なんなら天井に吊るすとかの表現とかも俺はしたかった。」という想いを、VR空間だからこそ実現できた。さらにVR空間ならではの装飾も出来る為、現実では不可能な形を可能にするーーまさにVRならではの表現力が光るポイントである。

 

質感を分かりやすく、より大きく見せる

これまで美術展示ワールドでは、ワールド容量を軽くするために画像の解像度を下げたり、サイズを小さくして展示するのが一般的だった。「GALLERY HAMAKI」では現代アートの魅力を最大限に伝えるため、あえて展示物を大きく見せて、画質も高画質にするのが特徴だ。

 

シゲマツ氏の作品

 

例えばシゲマツ氏の作品。たばこをくわえた女性のイラスト(左側)を拡大してみるとこうなる。

 

 

単にサイズを大きくしているわけではなく、キャンバスの質感や作者の筆跡まではっきりと確認できるほど、高解像度で展示されている

この事について葉巻の彼さんは「始めて知る作品も多いだろうから、あえて大きくするためにインパクトを残しておいてから、実際はこのくらいのサイズなんだって話をしたかった。」と語っている。

画像の大きさと高い解像度のこだわりゆえにデータが重くなり、一部の来場者や主催者まで動作が固まってしまうハプニングも発生したという。これもまた、VRならではの"本気の展示"ならではのエピソードだろう。

 

あのバンクシ―も!?イギリスのWCPによる複製画も展示

 

「GALLERY HAMAKI」では、なんと"あのバンクシ―"の作品が展示されている。これは、イギリスの団体WCP(WEST COUNTRY PRINCE)が制作したバンクシ―作品の複製画である。オリジナル作品と同じ技法や素材の紙を用いて忠実に再現されており、さらにシリアルナンバーまで付与されているのが特徴だ。そのため、比較的手に取りやすい価格帯でありながら、バンクシ―コレクターからも高い支持を得ている。

バンクシーを象徴する名作「風船と少女」といえば、赤い風船のイメージが強いが、風船の色が違う作品も存在し、WCPの複製品では金や紫などのカラーバリエーションも存在する。また、人気のネズミシリーズにおいても、小ぶりなサイズ感の作品が多く、WCPによる複数のバリエーションが展示されている。

VR空間で、これほど間近にバンクシ―作品を眺められる機会は、まさに貴重だといえるだろう。

 

参考資料

バンクシーファンが注目する「WCP」とは?バンクシーの複製画・リプロダクション作品について解説 | thisismedia

 

撮影禁止の展示エリア

「GALLERY HAMAKI」では、さまざまな事情から撮影禁止となっている作品も展示されている。そのエリアでは彼が働いている所で販売している作品やアーティストが販売している作品の展示をしているのだ。イベント専用のワールドである以上、この制限はむしろ当然といえるだろう。実際に現実の美術館と同じように"その場でしか見られない体験"を用意しているのも、このイベントならではの魅力である

 

これまで触れた美術品いろいろ


葉巻の彼さんがこれまでに取り扱ってきた、さまざまな美術品や骨とう品の写真が展示されている。その中には、実際に触れてきたからこそ大変だった話など、葉巻の彼さんならではの面白いエピソードが語られているのだ。取引の裏話や、美術品に使われている意外な素材、入手までの経緯やお手入れ方法までーー話を聞けば聞くほど、美術品バイヤーのリアルな苦労がジワリと伝わってくるのである。

 

今後の展望

葉巻の彼さんは、展示イベントの締めくくりとして、今後の展望について語った。

「GALLERY HAMAKI」の定期開催イベント化に加え、新しい現代アート作品の追加も予定されており、今後の展開が楽しみである。

今後、VRChatの美術系ワールドやイベントとしてだけでなく、現代アートの可能性を広げる場として、「GALLERY HAMAKI」がどのように発展していくのかーーその挑戦にも注目が集まりそうだ。

そして最後に葉巻の彼さんはこう語っている。

「このGALLELY HAMAKIはアーティスト・作品を知る事、買う事(オーダー)が出来る場所にしていきたい。出来るならここで見て満足するのではなく、実際に個展などに足を運んで、実際に現実で見てほしいですね。実際に作品を見た時の緊張感・感動というのはVRじゃ体験できないからこそ、自分の人生に気になる、今を生きているアーティストを追っかけてみるという事を加えてみても面白いんじゃないかと自分は思いますね。」

 

MADARA MANJ氏の作品(実物の写真。写真提供:葉巻の彼)

GALLERY HAMAKIのエントランスに飾っているMADARA MANJI氏の作品の貸出実物展示時の写真。

 

最後にレビュー

今回は、実際の現代アートを展示するイベント「GALLERY HAMAKI」を紹介。

厳選された現代アートを、高解像度かつ大きなサイズで楽しめるのが最大の特徴だ。これまでの美術展示系イベントやワールドにはなかった新鮮で斬新なアイデアが光っている。

葉巻の彼さんによる丁寧な解説が加わることで、現代アートの魅力が一層引き立ち、美術鑑賞にあまり馴染みがない人でも自然に楽しめる工夫が盛り込まれているのだ。

また、常設展示ワールドの制作や、VRで展示する新しいアートの追加など、今後の展望も明確である。現代アートの魅力をVR空間で発信し続けるその姿勢には、思わず期待せずにはいられない。

 

開催日時

不定期開催か、イベント毎に開く予定?

 

対応プラットフォーム

VRChat・PCのみ

 

参加方法

「Hamaki-葉巻の彼-」にフレンド申請後、JOIN

 

主催

葉巻の彼(@Hamakisice1994

 

展示アーティスト

・MADARA MANJ

・シゲマツ

・小倉まお

・おにぎりまん

・きたむらしゅ~

・びんぞこ

・Sizzle

・イツキ

・neko

・naka屋

・篠田桃紅

・BANKSY

 

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